他人の言動に引っかかってモヤモヤしたり、ついイライラしてきつく当たって後で落ち込んだり...といったことはありませんか?
ここでの問題はモヤモヤ・イライラそのものではなく、感情にのまれて行動すること。モヤモヤ・イライラの感情を抱くのは普通のことで、乱れた感情をそのまま他人にぶつけて結果的に自分自身が人間関係にストレスを感じてしまうのが問題なのです。
モヤモヤ・イライラにのみこまれず感情を消化するために、まずは自分の考え方のタイプをチェックし、タイプ別の対策を試してみましょう。
- 〔目次〕
- モヤモヤ・イライラの元になる考え方のクをセチェック!
- 人間関係でストレスを溜めないために! タイプ別モヤモヤ・イライラの整理術
- 3タイプ共通! 人間関係でストレスを溜めない3つのポイント
- モヤモヤ・イライラの原因は前頭葉の機能の低下?
- イライラ防止のカギとなるホルモン「セロトニン」
モヤモヤ・イライラの元になる考え方のクセをチェック!
あなたはどのタイプ? 当てはまる項目をチェックしてみましょう。
人間関係でストレスを溜めないために!
タイプ別モヤモヤ・イライラの整理術
こうあるべき思考が強いAタイプ
●自分自身の思考の偏りを自覚しよう
きれい好きな人は片づけられない人が気になりますが、相手は少し散らかっている状況を問題だとは思っていないかもしれません。このとき、片づいていなくて不機嫌になるのは片づけない人のせいではなく、自分がきれい好きな性格だから。
「自分は人よりもきれい好き」と認識すれば、感情的にならずに他人の行動も冷静に受け止められます。「他の人も自分と同じようにすべき」と感じた時には、相手に意見を聞いてみるのも一手。相手の基準を知って「ここまではやって欲しい」といった妥協点を見つけましょう。
勝ち負けで考えてしまうBタイプ
●幸せかどうかは自分で決めよう
物事を勝ち負けで判断する人は、例えば同級生が有名になって活躍しているのを見ると、負けた気がして不機嫌になります。そして常に勝ち続けることはできないため、ストレスも絶えません。
このタイプの人は、世間一般の尺度にとらわれて比較せず、自分自身の幸せに注力すると楽しくなってきます。そもそも幸せかどうかは他人基準でなく自分で決めるもの。他人基準のよいにとらわれず、自分の''よい''と思うことを大切にしましょう。
すぐに白黒つけようとしてしまうCタイプ
●物事を多面的に見て考えよう
「自分こそが正しい」と思っている人は、自分と異なる意見をもつ人に対して敵対心を抱き、怒りの感情をもってしまいます。
しかし人にはそれぞれの価値観があり、角度を変えてみればいろいろな正しさがあるもの。自分以外の人の意見にも耳を傾けるとさまざまな考え方や答えを知れ、選択肢も自分の視野も広がっていきます。
テレビなどで見る他人のコメントや意見に対して他の可能性を考えると、物事を多面的に見る習慣づけに役立ちます。
3タイプ共通! 人間関係でストレスを溜めない3つのポイント
その場でライトに表現
例えば騒がしくてイライラしたとき、「音を小さくして」とその場で言えば、相手も「あ、ごめん」で解決するかもしれません。ここでため込むと、「あの人はいつも騒がしくて、常識がなくて...」とイライラが大きくなってしまうかも。
質問してみる
急に仕事を押しつけられてモヤモヤしたとき、「急にどうしたんですか?」と、なぜ今、自分が指名されたかを聞けば、納得できる理由があるかもしれません。
モヤモヤ・イライラの根本的な原因を考える
相手が気に入らないと感じるとき、どこが不満なのかを考えると、自分の考え方のクセや、コンプレックスなどに気づけるかもしれません。自分の考え方のクセを知って見合った対策をとれば、ストレスをため込まずにすみます。
モヤモヤ・イライラ整理のために気をつけたい行動は次の3つ。いずれも自分の感情を消化しづらくする言動で、ストレスの原因にもなるため注意しましょう。
- モヤモヤ、イライラを放置する
- 目の前の人に感情をそのままぶつける
- 「もういいや」と諦める
モヤモヤ・イライラの原因は前頭葉の機能の低下?
脳のメカニズム
怒りの感情は「動物脳(トカゲ脳)」といわれる脳の「大脳辺縁系」で湧きます。これを抑えるのが、意欲や創造性、感情のコントロールを司る前頭葉。
加齢に伴う前頭葉の委縮やスマホやインターネット情報過多による脳の疲労で前頭葉の機能が低下すると、感情のコントロールが難しくなります。イライラを人にぶつけがちになるため、以前と比べて「怒りっぽい」「頑固」などと言われることが増えたら要注意。
毎日の工夫や考え方のクセを変えて、前頭葉の活性化に取り組みましょう。
新しいことにチャレンジする
前頭葉はいつもと違う状況や変わったシチュエーションにより活性化するため、新しいことを始めるのが効果的。
外出が好きな人は、写真を始めてみるのもよいでしょう。散歩の途中で出会った物を撮影すると、新しい発見や驚きがあるかもしれません。
読書好きな人は、いつもと異なるジャンルの本を読んでみましょう。色々な著者の本を読み、自分とは異なる考え方にあえて向き合ってみることで、新しい気づきがあるかも。
食べることが好きな人は、料理作りにも挑戦してみましょう。料理が好きな人は、いつものレシピに一手間加えるか、新しい食材を試してもよいでしょう。様々な工程がある料理は前頭葉を使う行為ですが、新しい味を求めれば、より脳が活性化します。
「これでいいや」から「これがいい」にシフトする
「考えるのが面倒だからいつもの服でいいや」という思考は脳が楽をしている状態。
「今日は初対面の人がいるから明るめの服を着ていこう」「今日は歩くから動きやすい服にしよう」など、「これでいいや」から「これがいい」にシフトしましょう。
イライラ防止のカギとなるホルモン「セロトニン」
セロトニン(幸せホルモン)には、ドーパミン(喜び、快楽)やノルアドレナリン(恐れ、驚き)などをコントロールして精神の安定を保つ作用があります。そのため、これが不足すると意欲がなくなったり不安が高まったり、心配でイライラが募ったり...。
セロトニンの減少は40代から始まりますが、太陽の光を浴びる機会の減少や運動不足も分泌を妨げる要因に。セロトニンの分泌を促すポイントをチェックして、イライラを防止しましょう。
太陽の光を浴びる
外出を控えていると、家から一歩も出ない日があるかもしれません。
セロトニンの分泌には、窓越しの日光浴も有効です。出かけない日は室内の窓辺でもOKなので、1日15分程度は日光を浴びる習慣をつくりましょう。
適度な運動を心がける
日常の中で「ちょっと頑張って体を動かす」程度でOK。エスカレーターを階段にする、一つ手前のバス停で降りて歩くなど、適度な運動を心がけましょう。
タンパク質をとる
食事はセロトニンの主原料となるタンパク質を意識してとって。
いろいろな角度からモヤモヤ・イライラを解消・防止して、ストレスのない毎日を過ごしましょう。
この方にお話を伺いました
国際医療福祉大学大学院特任教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長 和田 秀樹 (わだ ひでき)

東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー などを経て現職。老年精神医学、 精神分析学(特に自己心理学)、 集団精神療法学が専門。『感情的にならない本』(PHP研究所)、 『「感情の老化」を防ぐ本』(朝日新聞出版)など著書多数。